君の好きなところ
君の好きなところ
昨日ファミチキを食べてたところ
食べてね、と渡したそぼろご飯、食べてくれてたところ
1時7分に布団に来てくれたところ
その時抱きしめてさせてくれたところ
朝起きたわたしにおいでと両の腕で包んでくれたところ
泣くことと途方に暮れることしか出来なかった私に、「会えなくても近くにいてあげよう。君がそうしてほしいなら僕もついていくから。近くのホテルに泊まろう。」と言ってくれた、あの時の君の目。目の奥。潤んだ表面。目の奥、芯のある光。
電車の中でおにぎりを食べてくれるところ
飲み物を飲ませてあげると、飲んでくれるところ
わたしのペットボトルの飲ませ方、君は下手だと思っているところ
だって人に飲ませたことなんてないから、わからないもん
君は食べる、私は食べさせる、その言葉のない愛の会話が私たちの形になっているところ
君がそれを嬉しく思ってくれているところ
これは特に特別。君のとってくれたホテル、窓を開けると穏やかな海、私が立ったまっすぐ正面に、小さな教会、光る十字架がこっちを向いていたこと。そこに君が導いてくれたこと。わたしに祈る場所をくれたのが、あの日君だったということ。
君は無意識にいつも私を導くところ。
コンビニで、お弁当を迷って、予想外のチキン南蛮弁当を選んだところ。
北小金駅、プラットホームの自販機で君が私に飲み物を選ばせてくれた時、全部の自販機を見させて選ばせてくれた君。結局私が選んだのはその時君が1番飲みみたかったジュース。それが君の愛とわたしの愛のやりとりの縮図。2人のそのかたち。君の愛と、わたしの愛。
わたしが過ごすコメダ珈琲の席の向かいに、誰がいることはなかったし望んでいなかったのに、今わたしの席の向かいにはMacを開いた君が座っていて、それをわたしが心から望んでいるところ。君がわたしをそうさせたところ、わたしを変えたところ。
コメダ珈琲にいる君が言ってくれたとこ。
ポーチを選んでほしいと、照れながらわたしに相談してきたところ。
君の愛は、純粋で、偏っていて、真っ直ぐで、ピュアで、歪んでいて、やっぱりとても純粋で、不器用なところ。
そしてその君の愛さえも、わたしが囲ってあげているところ、君もわたしに任せてくれているところ。
深いところも、表面的なところも、仕方なしに培ったものも、最果てから最果てまでの全てが、やっぱりわたしにないものを君はもっていて、逆もしかりで君の正反対をわたしはもっているところ。それが心地よくても、それが時に苦しくても、そうである限り2人が一緒にいることを肯定されていると思える、2人のピースのハマり方。
君の髪型は愛おしい、朝も夜も。
君の目は美しい、まっすぐ、わたしに芯を見せてくれている時や安心を語らうときも。そしてどこまででも塞いで、奥で甘えを訴えたいと願っている時の子供のような形のときも。
君の口は愛の象徴。その柔らかい形も、むっと閉じているのにわたしにゆるまされてむふっと笑ってしまうあの形も。
君の身体はヴィーナス像より美しい。抱きしめてくれている時の二の腕のたくましさよ。胸板の安心感。それを感じて眠る日々の終わり方以上の幸福な寝入り端などない。
君の足は臭い。臭いと言わせて喜ぶ君のためなら、ずっと少しなら嗅いであげてもいいかな。
君の好きなところ
君と過ごす日々の全て
愛も歓喜も悲哀も、君の全てに
君の好きなところを感じる。
目を閉じる
目を開ける
目を閉じる
目を開ける
どちらにも、君。
何年経っても、そうだと思います。
春風の愛慕録