はるかぜの愛慕録 

君に馳せる、いくつもの愛

君がいたなら、どうやって写すだろう

昨日の夜中、まどろんでいたら君から優しい電話をもらった。

 

ああ、聞きたかった声

この声を耳に閉じ込めておけたらな。

 

そしてわたしは、君よりも君のことがわかってしまうから、それは厄介でもあるよね。

わたしのことを抱きしめてあげようと電話してくれた君だけど、本当は抱きしめてほしくてたまらない君。昨日一緒にいれたら、君を子供のように膝に乗せてあげて、優しくほどいてあげられただろう。

 

そそくさと電話を切ってしまった君だけれど、きっとたくさんページを手繰って選んで送ってくれたページだったのだろう。

付き合ってから、こんなに連絡を交換しなかったのは初めてだね、と、君が言っていた。うん、そうだね。そう返しながら、私は君の部屋で、枕に置いた君の腕時計に鼻をつけて横になっていた。ベットサイドには君とお揃いの本を置いて。開けっ放しの窓からは君みたいに静かで幼い夜風が吹き込んでいた。気づいてほしそうに。

 

なんでこんなに、君のことが好きだろう。

君もなんでそんなに、わたしのことが好きなの。

なんでわたしは、君のことがどこまでもわかるのだろう。

 

ずっと一緒にいようか、わたしたち。

君との電話が途切れてからも、そんなことを考えていた。

 

どうやって写すかな、君なら。

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