はるかぜの愛慕録 

君に馳せる、いくつもの愛

軽井沢 〜行き道のこと〜

 

7月は君と軽井沢を訪れた。

どれだけ遠回りしても、私たちは必ず手を取り合って素直に愛し合える。それにしても、軽井沢へ向かう初日はなかなか遠回りしてしまった。予定には随分と遅れて、家の鍵を閉めたのは夏の日が落ちる少し前といったところだった。

 

東京駅、私が「食べたい!」と張り切ったので2人で駅弁を買った。新幹線を待つ地下のホームではぼうぼうと大きな風が吹いていた。滅多に旅行に行けなかった私は、君との旅行にとても張り切っていたので、こっそり拳を握っては心の中で「ぼうぼう!ぼうぼう!」と風と共鳴してこれから始まる非日常に身構えていた。とてもわくわくしていた。

 

f:id:lazyspring:20210816150150j:image私は夏弁当、君はしゅうまい弁当を食べた。

 

 

 

新幹線に乗るのは好きなので(春、君と新幹線で京都を訪れたからだ。)、軽井沢へ1時間弱で着いてしまうことはなんだか少しおしい気持ちだった。

新幹線の中は涼しくて、静かで、左隣には君がいて、それはとても快適だった。私は窓の外であっという間に移り変わっていく景色を逃さないように、時には真剣に目でぎゅっと景色を凝視してみたり、気がつくとのんびりとした気持ちでまったく別の考え事に気を馳せていたり、そのことに気がついてまた慌てて逃すものかという思いで景色を睨んだりして過ごした。成果を報告したくて、iPhoneで地図を開いて「もう大宮だよ」と君に教えてあげたりもした。君は相変わらずカメラを構えたり、これまた相変わらずうたた寝をしたりして過ごしていた。

 

君とは、どこかへ向かう、というだけでも十分に楽しいのである。今この旅の行き道のことを振り返っていて、あらためてそう感じたのだ。

またどこかへ旅に出よう。必ずそうしたい。

 

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